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■ 帝国ホテル
吉行さんが仕事場としてよく利用したホテル。
最寄駅は「銀座」「新橋」「有楽町」「日比谷」など。
銀座をこよなく愛し、また、東京での仕事が多かった吉行さんにとっては とても便利なホテルだった。
宿泊代より帰りのタクシー代の方が上回ってしまうし、宿泊したら翌日もそこから仕事に行けるのが よいから、とのこと。
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■ デパート
吉行さんが小さい頃、遊び場にしていた場所。
エスカレーターで最上階まで登り、一階ずつ降りながら各フロアを見る、という 遊び方をしていたという。
あぐりさんの仕事場が銀座にあったことから行き先は主に伊東屋だった。
自宅から1時間ほど歩いてデパートに行き、そこで一日中 遊んでいたとか。
ある日、売っているサボテンを見て「いつか庭をサボテンだらけにするぞ」という小さな夢を抱いていた吉行少年。
後に蒐集癖はなくなったものの、サボテンやデパートはなつかしいにおいがしたらしい。
デパートが遊び場、都会の子供ならではですな。
■ テレビ
見るのは好きだけど出るのは嫌い、という吉行さん。
屈折した表現をしたら意味を取り違えられて、そこから問題に発展する、という点も嫌いな理由のひとつだが、最も大きな理由は「性に合わない」からだとか。
テレビ出演の2~3日前から 厭な気分になって、終わってからも不愉快だったところを見ると、本当に性に合わないらしい。
いつの頃だったか、NHKで鼠小僧次郎吉についての講義をしていたことも。
ビデオで残ってないですかねぇ?
再放送してほしいですな。
■ 電気ブラン
吉行さんが飲んだのは「濃いワイン色で焼酎くらいの強さのもの」だとか。
今でもボトルで売っている。
それはウィスキー色の 透明な液体で、少し甘めで、そう大量にガブガブと飲めそうにない。
今売られている電気ブランとは別物なのかも?
電気ブランといえば、神谷バー。
ジョッキでビールを飲み、次に電気ブランをショットグラスで・・・という組み合わせは もう最高ですな。
大衆的な食堂でカツとか頼んでゆっくりした時間を過ごしたり。
合席になった近所の親爺と話をして 名前も聞かずに別れる、というのもオツなもんです。
吉行さんは、この飲み方したんでしょうかねぇ?
■ てんとうむし
吉行さんが好んでいたと推測される虫。
といっても、部屋中てんとうむしが飛び回っているような生活をしていたわけではありません。
てんとうむしデザインの足置きが あったり、浜口陽三氏の版画があったり、てんとうむしがペイントされた小石をペーパーウェイトに使っていたり。
吉行さんの好きな赤と黒が入っていたからかもしれないですね。
浜口陽三氏の版画は、書斎にある仕事机の前の壁に飾ってありました。
全体的に少し暗めの落ち着いた色調で、 構図は緑の葉っぱにてんとうむしが二匹といったもの。
吉行さんが持っていたデザイン以外にも、てんとうむしの版画があるようです。
ぜひとも欲しい作品のひとつです。高いから買えないけど、もちろん。
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■ 電話
電話一本かけるのも、なかなかむずかしい。それに、私は病気や体質のために、日によってはダイヤルをまわす作業のことを
考えただけで、厭になってしまう。(『日日すれすれ』)という吉行さんだが、電話がかかってくることは気分転換になるから
歓迎だったとか。
といっても、相手は友人知人からの電話であって、イタズラ電話にはほとほと閉口されていたようですが。
たしかに、電話が一本もない日もあれば、かかってきた電話を受けただけの一日、という日もある。
そんな日を、 吉行さんは「晴れて湿気が少ない日は電話が多い」と分析していた。
理由は「人間の気分が外交的になるためだろう」。
こういう日は、一日に何本もの電話がかかってくる。
そのときのキマリ文句が「どうも、晴れた日は デンワが多いですね。」だった。
その文句を言うときの心境は、以下の通り。
この言葉を聞いた人は、何人かいる筈で、私のキマリ文句になってしまったが、どういう受取られかたをしているだろう。 どう思われても構やしないが、私の気分は自嘲のまじった照れくささである。
『樹に千びきの毛蟲』より